映画をご視聴くださった皆さん、トーク&ライブにご参加くださった皆さん、本当にどうもありがとうございました!
TWFF2020は無事終了いたしました。
また、今回「石垣市住民投票を求める会」への寄付つきのチケットを販売、合計13500円の寄付が集まりましたことご報告いたします。
以下、企画を担当したTWFF蔵原実花子のレポートです。
唄のチカラとは
ゲストの高橋慎一さん(ドキュメンタリー映画「Cu-Bop」監督)。
唄のチカラをこんな風に話してくれました。
「キューバ政府が国民にアジテーションするプロパガンダポスターのひとつに“音楽とは、恐怖とたたかう唯一の手段である”というメッセージがあります。音楽にはそういう、精神的なたたかいを乗り越える力があると思うので、2021年は音楽というものが持っている本質的なチカラが必要な年になると思います」。
お座敷はアナーキー
もうひとりのゲストの姜信子さん(作家、「ナミイ!八重山のおばあの歌物語」執筆、映画の中の“あの家来”さん)は、2020年を振り返って語ってくれました。
「不要不急なことはするなと言われています。ハルサーずが歌うことも、高橋さんがつくる映画のことも、いま私たちがここでやっているようなことも、全て不要不急のことですよね?国や権力者にとっての“不要不急”である私たちは、2021年はもっとはびこらないといけないと思ってるんです。ナミイおばあに教わったこと、それは“お座敷”というのはアナーキーな場所だということ。権力は入り込まない。お座敷の中の人が、お座敷のヌシなんですね。そのお座敷のような、我々自身が主人公である場をどんどん広げていくことを、2021年以降もやっていきたいと、私は思っています」。
石垣島の牛舎からは、ハルサーずの歌声
そして、トークの合間に、石垣島の牛舎からのびやかな歌声と三線・ギター・カホンで奏でる素敵な音楽を届けてくれた<ハルサーず>。居酒屋で集まると歌ったりするというエピソードとともに、その歌を披露してくれたり、映画の中でナミイおばあが歌った『桑港のチャイナタウン』まで飛び出しました。石垣島で生まれ育ち、農業をする「はるさー」。彼らを中心に結成されたのが「石垣市住民投票を求める会」です。TWFFでは彼らの活動を応援してきました。
最後には参加者もビデオオンで活動のテーマソング「話そうよ」を堪能しました。
♩「話そうよ」♩
話そうよ 話そうよ
今日のできごと 未来の夢
咲かそうよ 咲かそうよ
色とりどりの花 みんなの心に
認めよう 認めよう
あなたと違う人 あなた自身を
歌おうよ 歌おうよ
怒ってる人も 泣いてる人も
笑おうよ 笑おうよ
その笑顔が いちばん好き
話そうよ 話そうよ
大切なこと 島のこと
ナミイおばあが繋いでくれたもの
姜信子さんがナミイおばあと初めて会ったのは、2002年のこと。4、5時間歌い踊ったあと、おばあは行儀よく聴いている姜さんにこう言ったそうです。「あんたの頭の上には神様がいないねぇ」。
このことは著書にも書かれています。
「人間は誰もよ、頭の上に神様を乗せているものなんだよ。
神様は歌がとてもお好きだから、心を込めて歌ってさしあげれば、とってもお喜びになる。
アンタの頭の上の神様が黄金の光を放ってお喜びになると、その光を浴びたアンタの胸のなかの魂もはじけんばかりに声をあげて喜ぶんだよ。
神様の喜びはアンタの喜び、アンタの喜びは神様の喜び。
いいかい、頭の上に神様を乗せている人間ひとりひとりが、ほんとは神様なのさ」
(「ナミイ!八重山のおばあの歌物語」より)
歌に正解はない。上手い下手もない。歌うものがその歌の主(ヌシ)、踊るものがその踊りの主。
そこからはじまったおばあとの旅は、姜さん自身の「神様」を探す旅でもあったそうです。
姜さんが伝えてくれたナミイおばあと姜さんご自身のお話に、おばあと同じ生まれ島で奮闘するハルサーずも、国境を越えて生まれた奇跡のような音楽を知る高橋慎一さんも、引き込まれるように聴き入っていました。
ナミイおばあが歌と人を、人と人を、声と声なき声をつなぐ「お座敷」なる存在。
この晩、お座敷の伝導者がまた幾人か増えたようです。
世界で一番小さな映画祭TWFF2020の最後に
120歳(ヒャクハタチ)まで生きると言っていたナミイおばあこと新城浪さん。亡くなったのは2017年、97歳でした。
おばあと歌い、旅した姜信子さんは、「映画は120歳以上まで生き、おばあの願いがかなうのではないでしょうか」と話しました。
冒頭、TWFF代表のディアスが挨拶したように、このイベントはおそらく「世界でいちばん小さな映画祭」ではありますが、『ナミイと唄えば』をつないでいく一翼を担えたなら、心からうれしく思います。
映画だけではなく、ナミイおばあの生まれ島の後輩、ハルサーずの金城龍太郎さん、宮良央さんにもその命をつないだように思います。そして彼らも、彼ららしい形に変えて、それをさらに若い世代へとつないでいくのではないでしょうか。
2006年八重山の魅力を求めて訪れた公開当時の劇場で、ナミイおばあに出会っていた高橋慎一さん。2020年という社会が大きく変化したこの年の終わりに再びおばあに出会ったことになります。
高橋さんがご自身の「お座敷」でどのような「歌」を歌われるのか。
みなさんの2021年のご活躍がとても楽しみです。
オンラインであれ、ひととき集い、歌って話した時間は、ナミイおばあがつないでくれたご縁。
おばあ、ありがとうね。
「これからも一緒に歌って遊ぼうね〜」
ナミイおばあが振り返って手を振っていますー
トークライブで話題にのぼった作品等のリンク集です。ご活用ください。
●姜信子さん著書(映画原作)「ナミイ! 八重山のおばあの歌物語」
https://www.iwanami.co.jp/book/b264232.html
●大田静男さん(ナミイおばあの“彼氏”)ご出演YouTube『20170101のりこえねっと新年特番 佐高信語り「歌と詩と唄と謳」』
●大田静男さんがトゥバラーマについて語った記事
https://yaimatime.com/interview/11702/
●高橋慎一監督ドキュメンタリー映画「Cu-Bop」サイト
●高橋慎一さんHP
●石垣市住民投票を求める会HP
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●堀潤さんYouTube(企画TWFF)「島人〜すまぴとぅ〜と考える大切なこと 石垣島 全国初の住民投票義務付け訴訟から」
●堀潤さんYouTube(企画TWFF)「私たちが控訴を選んだ理由 石垣島 島人〜すまぴとぅ〜と考える2」
●蔵原実花子(TWFF)note記事「この島の人たちが本音で話せるように〜石垣島・ハルサーの闘わない闘い〜」
https://note.com/twff/n/nfa7435c6936b
●蔵原実花子動画・記事「僕らは話したい、そして聴きたい」
●姜信子さん翻訳ホ・ヨンソンさん著作「海女たち 愛を抱かずしてどうして海に入られようか」